5.10.2008

    ついに来たか……

    腕には、いくつもの鋭い針を刺された跡が残っている。
    どこにいるか分からない敵。
    今は午前3時。
    油断すると次々と刺してくる。
    目をつぶり、聴覚を研ぎ澄ませていく。
    奴に戦うときは目など飾りでしかなく、
    頼りになるのはわずかな羽音だけだ。
    そう、安らかな眠りについていた僕の神経を逆なでする不快な羽音。

    蚊。
    僕は面と向かって彼(あるいは彼女)と話がしたい。
    刺すなとは言わない。
    向こうもこっちを刺さないと生きていけないだろうから。
    ただ、刺すときに変な物質を入れて、痒くさせないでもらいたい。
    それが仕様で変更できないと言うなら、
    年間50ミリ㍑の血液を提供しよう。
    君たちには十分すぎる量だと思うけど?