「マクドナルドのコーヒーなんか飲まない」と駅員は言った。
「あんなもの金の無駄ですよ」
村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』からの抜き出しだ。
これは村上春樹本人の意志なのか、または彼が得意とする暗喩の一つなのかは分からない。
最近周りの友人にスターバックスのファンが増えている。
彼ら曰く、マックのコーヒーはコーヒーではないらしい。(マックの中の人ごめんなさい)
うーん。
自分が味覚音痴なためかもしれないが、飲み比べても大きな違いは分からない。
おそらく、彼らもそれほど分かってはいないように思う。
なにしろ、コーヒーにあれほどチョコレートだとかホイップクリームだとかキャラメルなんかを入れているのだから、
五つ星のシェフでもコーヒーの味を判定するのは難しいだろう。
彼らは、コーヒーの味よりもむしろ、スタバに行くという行動を重視しているように思う。
彼らの中でスタバに行くという行動はファッションの一部なのではないだろうか。
「スタバる」という言葉があるが、これを象徴しているように思える。
スタバに行くことが、一つのステータスになっているのだ。
つまりなにをいいたいか村上春樹風にすると、
「その夜、フリオ・イグレシアスは一二六回も『ビギン・ザ・ビギン』を唄った。私もフリオ・イグレシアスは嫌いなほうだが、幸いなことにスタバのコーヒーほどではない」
P.S.
米消費者情報誌のコンシューマー・リポーツ誌の寸評では、マクドナルドのコーヒーを、「上質でカフェインの強さも適度。目を覚ますのに不足しているところもあるが、欠点はなかった」と絶賛。今回比較した中で最もおいしいコーヒーとした。
一方、スターバックスでは「カフェインが強いが、ローストし過ぎで苦く、目が覚める代わりに涙が出る」と酷評している。